複国籍容認を求める国会陳情報告


高川 憲之

 IST請願の会発起人
 Mixi複国籍を認めてもらうコミュニティ管理人
 国際結婚を考える会海外会員


去る4月10日国会へ複国籍の容認を求める陳情に行きました。国会へ出向く前、前回の選挙で惜しくも落選された大出彰前衆議院議員の事務所を表敬訪問しました。大出議員は国会で初の複国籍容認を求める質疑をされた方で、民主党内の説得を精力的に行って下さった方です。次回の選挙で国政復帰を果たしたいと強い意欲を持たれておりました。私も陰ながら応援したいと思っております。前回の衆議院選挙では松野議員、藤田議員、山内議員などの複国籍の容認に積極的に動いて下さった方々が落選してしまい、大変落胆しましたが、次回の選挙では大出前議員と同じく、是非国政復帰して頂きたく、陰ながら応援したいと思っております。

今回は、複国籍容認の請願を是非とも国会で承認して頂きたい事、特に国籍選択制度については、これから毎年1万人以上が選択の期限に達するため対応が急務となっている事、この選択制度の廃止については参議院選挙に向けて所属政党のマニフェストに挙げて頂きたい事を中心に陳情致しました。また、Mixiというインターネットのコミュニティで、複国籍を望む声が多くなっていること、その要望が切実であることなども説明いたしました。

複国籍を認めてもらいたい方の中には、ブラジルに移民し、子を設け、諸般の事情で奥様だけがブラジル国籍を取得せねばならず、日本国籍を喪失してしまった和田さんの無念、先の国籍法改正以前は父系主義だったので、本来日本国籍がなかったのに、日本の役所の手違いによって日本国籍を与えられ、以降21年間日本人とし日本に生活した後、突如無国籍にさせられてしまったマッキーンさん(現在アメリカ国籍)の無念を議員の方々にお伝えしました。

永田町に到着して、まず始めに浜四津敏子参議院議員事務所にお伺いいたしました。議員は不在で、池田秘書が応対して下さいました。複国籍の容認については今後とも働きかけて下さること、党のマニフェストについて検討して下さること、マッキーンさんの件では法務省に確認をして下さることなど、大変ありがたいご対応を頂きました。

次に、黒岩宇洋参議院議員事務所にお伺い致しました。こちらも議員は不在で、川久保秘書が対応して下さいました。黒岩議員は7月の参議院選を控えており、秋以降の請願協力をするためには、まず再選を果たす必要があるとの事で、再選された暁には紹介議員などを通して力になりたいとの事でした。私は個人的に黒岩議員のお母様で、黒岩秩子元参議院議員と懇意にさせて頂いており、秩子元参議院議員には毎年何百筆もの署名協力を頂いております。是非、宇洋議員に再選を果たして頂きたいと思っております。

蓮舫参議院議員事務所では宮川秘書に対応していただき、資料をお渡しし、是非とも力になって頂きたい旨をお伝えいたしました。宮川秘書はまず勉強させて頂き、連絡して下さるとの事でした。続いて千葉景子参議院議員事務所にお伺い致しました。千葉議員も不在で、幸寿秘書にご対応頂きました。千葉議員は今国会のIST請願の会の請願紹介議員になって下さっております。今後も国会質疑などを通して協力して下さること、民主党のマニフェストへの働きかけを行って下さる事など仰って下さいました。マッキーンさんの件は本当にひどい扱いだと憤りを示されておりました。

衆議院の議員会館へ移る前にちょっと時間があったので、江田さつき参議院議員事務所に飛び込みました。事前連絡なしの訪問でした。議員はご不在でしたが、秘書の方は複国籍容認の請願についてよくご存知で、今後とも協力して下さるとの事でした。私が初めて請願のために国会へ出向き、対応して下さったのが江田さつき議員事務所でしたので、大変懐かしい感じでした。

衆議院会館ではまず土肥隆一衆議院議員事務所にお邪魔しました。ちょうど議員が在室で会談させて頂く事が出来ました。土肥議員は今国会のIST請願の会の請願紹介議員になって下さっております。私の妻が障害児教育に従事しているので、聖職者であり、教育者でもある土肥議員とは教育関係で話しが進んでしまいました。しかし、その為に複国籍容認の請願についてもかなり好意的に受け止めて頂けたと思います。今後とも力になって下さるとの事でした。

岩國哲人衆議院議員からは、岩國議員が国会質疑に立たれるので是非見学をとの事を前もって打診されておりました。どんな質疑かは説明されておりませんでしたが、これもいい機会なので是非とも見学したい旨を伝えておりました。岩國事務所をお伺いした後、秘書の方が国会議事堂に案内して下さいました。議員の申請がなければ委員会の傍聴は出来ないとあって、厳重なチェックに会いました。傍聴させて頂いたのは決算行政監視委員会の質疑でした。

傍聴直前に秘書の方から質疑用の資料を手渡しされました。この資料に法務省出典の「諸外国における重国籍に関する法制度(概要)」というのがありました。何と岩國議員は私の陳情に配慮して下さり、当日にあったご自分の質疑に複国籍の容認に関する質疑を盛り込んで下さったのです。誠に身に余る光栄でした。パリで衆議院法務委員会の皆さんと懇談させて頂いた時と同じ感激が走りました。その反面、自分も背筋を正して責任ある陳情をして行かなくてはと思い知らされました。

岩國議員の質疑は迫力がありました。法務省出典の資料が、複国籍を認めない国が○で、認める国が×となっている、その国際感覚の欠如を指摘し、どれだけの請願の声が上がっているのか、日本は人こそが資源、複国籍者は貴重な資源ではないか、今まで複国籍であることによって、治安上の問題や差別が起きたこともない、日本は複国籍を認めるに値する成熟した社会になっているのではないか、と政府を質しました。因みに法務省の回答によれば、今までの複国籍容認に関する請願の提出数は過去3年におよそ20件で、署名数は約1万筆です。法務省は数字は数字としてしっかり把握していることがわかります。

質疑の後、岩國議員と懇談しました。議員は他の陳情者から複国籍容認には消極的と思われている様だが、今回の質疑でそうではないことが証明できたこと、陳情者についても、もう少しメディアに働きかけた方がいいこと、これからも協力して下さることなどを述べられました。この問題に対するメディアの関心度がまだまだ低い、これは確かに問題かと思われます。議員はいくつかの資料を参考にと私に下さいました。私の手元にない資料などもあって、大変勉強熱心な所にいたく感心し、またそのご親切に感謝しています。岩國議員の政策担当秘書の岸氏もこの問題に大変関心を寄せられており、ご自身が国際的な活動を視野に入れられているので他人事ではないとの事でした。今後とも連絡を取り合って行きましょうとの事でした。

最後は、再び参議院会館に戻りツルネン・マルティ参議院議員と会談致しました。ツルネン議員は重国籍容認について、千葉議員と共に民主党のまとめ役的存在でご尽力下さっております。7月の選挙に勝って、今後とも協力して行きたいと仰って下さいました。マッキーンさんの件でも、こういう事が起きないためにも、包括的に複国籍が認められて行かなくてはならないのだとの認識を示されました。

今回の陳情で感じたことは、法務省が依然として複国籍に後ろ向きなこと、与党自民党が同様に後ろ向きなことです。これを覆して行くには、まだまだ時間がかかると感じました。しかし、請願の声があるから、議員も国会で質疑が出来るのだし、それが政府への圧力になっていることには違いありません。ツルネン議員も同様な見解を示されておりました。

今回陳情に訪れた議員は、蓮舫議員を除いて全て国際結婚を考える会の複国籍容認の請願紹介議員でもあります。国際結婚を考える会の請願活動が、最も組織的で最も精力的であることが伺えます。

今回作成した陳情用資料は下記URLにアップロードしてあります。
http://www.kouenkai.org/ist/pdff/fukukokuseki.pdf
http://www.kouenkai.org/ist/pdff/ist-introduce.pdf

最後に平成19年4月10日現在までの、複国籍容認に関する国会質疑歴を記します。

平成14年(2002年)
大出彰衆議院議員  衆議院憲法調査会
平成15年(2003年)
千葉景子参議院議員 参議院法務委員会
平成16年(2004年)
円よりこ参議院議員 参議院決算委員会
松野信夫衆議院議員 衆議院法務委員会
藤田一枝衆議院議員 衆議院法務委員会
(衆議院法務委員会欧州法制度視察団懇談会)
平成17年(2005年)
高野博師参議院議員 参議院憲法調査会
浜四津敏子参議院議員 参議院法務委員会
平成18年(2006年)
千葉景子参議院議員 参議院法務委員会
高山智司衆議院議員 衆議院法務委員会
平成19年(2007年)
岩國哲人衆議院議員 衆議院決算行政監視委員会

質疑回数 のべ10回、うち衆議院5回、参議院5回
質疑議員の所属 民主党7名、公明党2名



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