参議院会議録情報抜粋
ー重国籍のあり方に関する件ー

−参議院議員 千葉 景子 氏 質疑より−

以下の参議院会議録情報抜粋は、私たちの請願の紹介議員になって下さった、参議院議員千葉景子さんの。法務委員会での重国籍に関する質疑です。

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/156/0003/15607170003023c.html

国会で、この問題が取れ上げられ、徐々にその声が強まることを期待しています。

参議院会議録情報抜粋 第156回国会 法務委員会 第23号

平成十五年七月十七日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月十六日
    辞任         補欠選任
     陣内 孝雄君     片山虎之助君
 七月十七日
    辞任         補欠選任
     青木 幹雄君     大仁田 厚君
     片山虎之助君     世耕 弘成君
     佐々木知子君     脇  雅史君
     野間  赳君     西銘順志郎君
     浜四津敏子君     風間  昶君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                荒井 正吾君
                市川 一朗君
                千葉 景子君
                荒木 清寛君
                井上 哲士君
    委 員
                岩井 國臣君
                大仁田 厚君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                世耕 弘成君
                中川 義雄君
                西銘順志郎君
                野間  赳君
                脇  雅史君
                江田 五月君
                鈴木  寛君
                角田 義一君
                風間  昶君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
   衆議院議員
       発議者      塩崎 恭久君
       発議者      太田 誠一君
       発議者      保岡 興治君
       発議者      石井 啓一君
       発議者      金子善次郎君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    増田 敏男君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中野  清君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   中山 隆夫君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   山崎  恒君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       司法制度改革推
       進本部事務局長  山崎  潮君
       警察庁刑事局長  栗本 英雄君
       金融庁総務企画
       局長       藤原  隆君
       金融庁証券取引
       等監視委員会事
       務局長      新原 芳明君
       総務省自治行政
       局長       畠中誠二郎君
       法務大臣官房長  大林  宏君
       法務大臣官房司
       法法制部長    寺田 逸郎君
       法務省民事局長  房村 精一君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       法務省矯正局長  横田 尤孝君
       法務省人権擁護
       局長       吉戒 修一君
       厚生労働大臣官
       房審議官     阿曽沼慎司君
       厚生労働省健康
       局国立病院部長  冨岡  悟君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    上田  茂君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○法務及び司法行政等に関する調査
 (行刑改革会議の論議と処遇改善に関する件)
 (司法制度改革の進捗状況に関する件)
 (重国籍の在り方に関する件)
 (報道と人権に関する件)
 (性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関す
 る法律の運用に関する件)
 (最近の凶悪事犯の原因に関する件)
 (女性差別撤廃条約の実施状況等に関する件)
○商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例
 に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院
 提出)

(中略)

○千葉景子君 是非、この司法制度改革が何のために、そしてどういう理念で進められているのかということを忘れることなく論議が進んでいくよう、改革本部におきましてもきちっとした対応をしていただきたいというふうに思っております。
 さて、今日はもう一点お聞きをいたしたいと思います。
 それは二重国籍、重国籍にかかわる問題でございます。昭和五十九年に国籍法が改正になりました。実は、これはもう私の方で何か説明してしまって恐縮でございますけれども、これまで日本が国籍について父系主義を取っておりましたが、女子差別撤廃条約の批准等を踏まえまして、父系主義ではなく、父系、母姓、両姓の主義を取ることになったと。
 こういうことを背景に、そうなりますと、母親の国籍も取れる、父親の場合でも母親の場合でも国籍が、日本の国籍が取れる。国際結婚とかが増えているということも含めて、重国籍が現実に増えてくるのではないかということの中で、国籍唯一の原則といいましょうか、単一国籍という方向へ国籍法が改正をされたということでございます。
 これは、女子差別撤廃条約を踏まえた男女の差別をなくしたという面はよく分かるわけですけれども、このときにやはり重国籍を認めないという方向に法改正をしたというのは一体どういう理由だったのでしょうか。それは、現状を踏まえると、今そのままで本当にいいんだろうかという問題があるんですけれども、その理由をまずお聞かせいただきたいと思います。


○政府参考人(房村精一君) 一般に重国籍の弊害としては、一人の人が二つの国に属するということになりますので、その人に対する外交保護権が衝突をして国際的な摩擦を生ずる可能性がある、それから、例えば日本国民が他の国籍を持っていてその国の軍事的役務に就くということは日本にとって好ましくないのではないか、あるいはそれぞれの国が国民として身分関係を管理する結果、重婚が生ずるおそれがあると、こういうようなことが重国籍の弊害として指摘されているところでございます。


○千葉景子君 今、そのときに重国籍を認めない法制を取った理由というものが御披瀝いただきました。ただ、最近の国際情勢とか、あるいはそれぞれの個人の生きる範囲等々を考えてみますと、そのときの確かに理由は全く否定するものではありませんけれども、それが今やっぱり本当にもう通用するようになっているのかなというちょっと感がいたします。
 私の下にも、かなり重国籍を認める制度を導入したらどうかという意見も寄せられています。どういうことがよくあるかといいますと、例えば属地主義を取っている国で、御両親は日本人であってもいいんですけれども、お子さんが生まれる、そしてそこで成長して、その国でこれから仕事や学問も続けていこうというようなケースもかなり多くなっている。そうなりますと、やっぱりその国で生きる国籍、その基礎になる国籍も捨て難い。しかし、やはり両親が日本人でもある、日本人としてのアイデンティティーのようなものもやっぱり存在をする。どちらを捨てるといっても、なかなかその決断がしにくい。
 確かに今、いろいろな衝突があるというお話がございました。しかし、それはそれぞれの生き方の選択ということにもなってくるわけでして、強制的にやはりどちらかの国籍でなければ駄目なんだと言ってしまうことが本当にいいのだろうかという感もいたします。それから、父親、母親、両親の国籍が違うというようなときに、やっぱり母親の国の人間でもありたいし父親の国の人間でもありたいと、こういうこともあろうかというふうに思っております。
 そういうことで、そろそろ少し考え直したり検討してみた方がいいのではないかなと思いますが、今その選択制度が導入されて国籍を一定の年齢で選択をするということになるんですけれども、これ、どうなんでしょうか。実態として、もし選択をしないとどんなことになってしまうんでしょうか。ペナルティーが掛けられたりするのか、あるいは絶対その国籍、二重の国籍を持っている人が法律的にはいないと言い切れるものなんでしょうか。その辺の、ちょっと手続等を含めて、御説明いただければと思います。


○政府参考人(房村精一君) 国籍選択の概要でございますが、二十歳前に外国の国籍も併せて持っているという場合には、二十二歳に達するまでに国籍選択をしていただく、二十歳以後に他国の国籍も取得した方については、その取得したときから二年内にいずれかの国籍を選択していただくと、こういう仕組みになっております。
 選択をしない場合でございますが、これはぎりぎりの場合には、法務大臣が書面によりまして国籍の選択すべきことを催告することができると、そして催告を受けた者が催告を受けた日から一か月以内に日本の国籍の選択をしないと日本の国籍を失うと、こういう規定になっております。


○千葉景子君 今、もし選択をしないと、法務大臣の選択の催告があって、それに応じないと国籍を喪失するという形になると。実際にこういう適用されるようなケースというのはあるんでしょうか。


○政府参考人(房村精一君) 現在まで、この催告を行ったことはございません。


○千葉景子君 そうなりますと、多分、現在でも制度上は重国籍を認めないという形ではありますけれども、分かりません。原因は、たまたま選択の制度を知らないままいたのかもしれませんし、あるいは自分の意思として国籍を選択をしないで事実上おられるということも含めて、多分、重国籍になっておられるケースも現実にはあるんじゃないかというふうに推測されます。
 それから、先般、私、ちょっとフジモリ氏のことをお聞きしたことあるんですけれども、この改正前から二重の国籍を持っておられて、そのまま引き続き日本の国籍と他国の国籍を持っている方、こういう方も当然おられる。そして、世界の潮流としても、どうやら必ずしも単一の国籍ということが国際的な全体の潮流ではないようにも私は聞いております。
 問題は確かにあるかと思いますし、簡単なことではないのは承知をしておりますけれども、こういうことを考えますと、それから先ほど紹介させていただいたような今の国際状況、あるいはもうグローバルなボーダレスな社会ということを考えましたときには、少しこの重国籍についての法制を検討し直してみる、あるいは見直してみるようなこともそろそろ必要なのかなという感じがいたしますが。
 今日ちょっと時間が限られておりましたので、簡単に指摘をさせていただきましたが、法務大臣、いかがなものでしょうか。こういう実情等を踏まえまして、どんなふうに感想といいましょうかお持ちでしょうか、その点をお聞かせをいただきたいというふうに思います。


○国務大臣(森山眞弓君) 国籍法につきましては、これまでも、我が国を取り巻く国際情勢とか国内情勢の変化を踏まえまして、所要の法改正を行うことも含めて適切に対処してきたところだと思いますが、先生の御指摘は貴重な御意見であると思います。興味深く聞かせていただきました。今後とも、御指摘の点をも踏まえながら、こうした問題についての国際的な動向などを注目してまいりたいと考えております。


○千葉景子君 時間早いですが、ちょっと協力をさせていただいて、終わります。
(以下省略)


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