参議院会議録情報抜粋
ー重国籍の問題に関してー

−参議院議員 千葉 景子 氏 質疑より−

以下の参議院会議録情報抜粋は、私たちの請願の紹介議員になって下さった、参議院議員千葉景子さんの。法務委員会での重国籍に関する質疑の抜粋です。

第164回国会 法務委員会 第2号
平成十八年三月十六日(木曜日)
   午前十時二分開会


○千葉景子君

民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
~略~
それでは次に、三点目でございますけれども、今、人の動きというのは国を越えて非常にグローバルな活動になっております。生活も、国内にとどまらず、いろんな各国で生活をするというような実情もございます。人間関係もしかりでございます。そういう中で、ちょっと国籍に関して幾つか起こっている問題がございますので紹介をさせていただき、これについて大臣にもより一層関心と、そして解決の道を切り開いていただければというふうに思っているところです。

 一つは、重国籍の問題でございます。
 これは経緯がございまして、一九八〇年に女子差別撤廃条約が批准をされました。それに伴って日本の国籍の制度が、父系優先主義ですね、父の方です、から父母の両方の主義に改正になりました。そういうことも関係をいたしますけれども、その際に、国際結婚などによって重国籍が増えるのではないかと、そういうことで国籍選択制度というのを同時に採用いたしました。そういうことで、今、日本の国籍とそれからどこか諸外国の国籍を二重に持つということはかなわないと、こういう今実情でございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、大変人の関係あるいは移動、こういうものもグローバル化しているもんですから、例えば、日本に元々生活の場はあるけれども仕事の関係などで諸外国で大変活躍をしている、しかし活躍をするためにはそこで資格を得たりもしたいと、そのためにはそこの国籍がないとうまくいかない、しかし日本のやっぱり自分の元々のアイデンティティーを残しておきたいと、こういうようなケースもございます。

 あるいは、こういうことは御自分の意思ということもかかわりますけれども、子供ですね、国際結婚をする、そういう中で生まれたお子さんとかですね。最初に両方の、外国で、例えば日本の女性と外国の男性との間で生まれた、日本の国籍もあるし、それから外国の国籍も得ていると。ただ、これは一定の年齢になりますとどっちかにしなさいと言われまして大変その選択に悩むと、こういうケースもございまして、何とかここをできないものだろうか。まあ悪さをするというつもりは全然ないわけでして、何とか解決の道はないだろうかという、こういう悲痛な声も大分多く出てきております。

 それからもう一つは、これは元々問題になったことがございます。日本の男性と例えばアジアの中でですね、の女性との間に子供ができたと。結婚をしているということであればいいのですけれども、婚姻関係にない、そして認知も生まれてから認知をしていると。ですから、父親というのは確定はしているんですけれども、国籍を持てないと。こういう今制度になっております。

 そういう中で、やっぱり子供には責任はありません。そして、父親が日本人であるということは分かっているわけですから、確定をしているということですので、こういうときに国籍を持つことができない、日本の国籍を持つことができないというのは大変子供には気の毒というか、大変悲しいことなのではないかというふうに思っております。こういう問題も一部裁判などにもなっているようですけれども、やはり何とか子供のためにも道を開けないかと。こういう問題があり、国籍にかかわる問題が幾つか出ております、課題がですね。

 今すぐ回答とかあるいは結論と私はここでは申し上げませんが、是非目を向けていただきまして、何か解決の道を一緒に御検討いただきますように心からお願いをさせていただきたいと思いますが、是非お取組だけはしていただけないでしょうか。大臣、いかがですか。

○国務大臣(杉浦正健君)

 先生の御意向、承りました。外国人問題PTで副大臣が取り組んでいただいておりますし、副大臣の方からお答えをさせていただきたいと思います。

○副大臣(河野太郎君)

 二重国籍の問題、まあ重国籍の問題でございますが、実はプロジェクトチームを立ち上げましたときの大きな問題の一つでございました。委員幾つか御指摘をいただきましたが、成人の日本人が他国で活躍するために他国の国籍をという場合は、これはやはりどちらか選択をしていただかなければならないだろうというのがプロジェクトチームの検討の方向でございます。

 ただ問題は、国際結婚ですとかそういう場合に、父母のどちらかの国籍の選択を迫るというのは余りにも酷ではないかという要請は、例えばフランスの方と結婚された方から本当に悲痛な陳情を寄せられているのも事実でございまして、これを何とかできないだろうかという検討をしているわけでございますが、例えば徴兵制度のある国ですとその徴兵をどう回避するのか、あるいは外交保護権がバッティングする、これをどうするのか、それからその身分関係が別々になってしまうと重婚の問題も出てくるだろうとかですね、実は考えてみるとこれなかなか一筋縄ではいかないなと。

 それからもう一つは、二重国籍の方が外国のパスポートで日本に入ってこられて日本でパスポートを取って出国すると不法残留に数字上は載ってしまいます。これは別に実害があるわけではありませんが、少なくとも統計的にはその数字が消えない。それから、外国の政府のトップに日本の国籍を持ったままなってしまうようなことも、まああのフジモリさんのように現実にそうしたことが起きたわけでございますので、これはなかなか解決は難しいのかなと。

 ただ、国籍は二つあっても例えばパスポートは一つだけとかですね、何かそういう解決策があるんではないかということはそのPTでもいろいろ議論をさせていただきました。ただ、そういう場合には日本国内の法整備だけではできずに、何か国かで国同士の二重国籍はこういうルールでやろうという取決めができれば、じゃパスポートはこっちにしようとか、二重国籍だよという登録をちゃんとしてくださいとか、そういうことができれば解決に向けて前進できるのではないか。現状では、正直言って二重国籍かどうかの把握もできないということでございます。

 そういうことで、これは一生懸命今検討をしているところでございますが、国内だけではなかなか難しいというのが現実だろうと思います。

 それから、日本人の男性と外国人の女性の問題でございますが、確かに出生後の認知で国籍の問題どうなんだということがありますが、これ、その出生後数日で認知して明らかに親子だねというケースがあるかと思えば、二十年ぐらいたってお父さんが来て、いや実はおまえはおれの子だと言って認知するとそれで日本国籍になってしまうというのも変な話でございます。まあそれは極端な例と言われれば極端な例なのかもしれませんが、そういうことも理論上は起こり得るということだと思いますので、そういう問題があるということを、これも少し検討課題にはさせていただいて、当面はしかし現状でやらなければいけない。

 しかし、これだけ国際化が進む中で、二重国籍の問題、見て見ぬふりはできませんので、しっかり前向きに取り組んでいきたいというふうに思っております。いろいろ御指導、よろしくお願いしたいと思います。

○千葉景子君

 ありがとうございます。
 これまでなかなか踏み込むことができませんでおりました議論をいろんな形で進めていただいているということを私は高く評価をさせていただきたいというふうに思いますし、是非これは、私も結論といいますか、こうすればうまくいくというのを私自身もまだまだ持ち合わせるまでには至っておりません。一緒に考えさせていただけたら大変有り難いというふうに思っておりますし、認知に伴う国籍の取得の問題も、まあ極端なことはあるかもしれませんが、子供の側、子供の立場ということを考えてまた御検討は続けていただければ大変有り難いというふうに思っております。


Return