平成20年自民党における複国籍容認の動き


産経ニュース 二重国籍容認の私案提示 自民PT
2008.11.11 11:29
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081111/stt0811111130000-n1.htm

 自民党法務部会の国籍問題プロジェクトチーム(PT)は11日午前、党本部で会合を開き、座長の河野太郎衆院議員が二重国籍を認める国籍法改正の私案を提示した。私案をたたき台に有識者などから意見を聞いた上で、年内をめどに改正案要綱を取りまとめる。

 現行の国籍法11条は二重国籍を原則認めていない。私案は、二重国籍を認めた上で、本籍地での届け出を義務付け、届け出ない場合は刑事罰を科し日本国籍を失うこともあるとした。皇族、国会議員、閣僚、外交官、自衛隊の士官と裁判所の判事は日本国籍以外を持てないことや、他国の重要な公職に就いたり軍隊に志願したりした場合も日本国籍を失うことを定めた。

 さらに、日本と結びつきが薄い人が日本国籍を持ち続けることを避けるため、日本国外で生まれた人が22歳になるまで計365日間、日本に居住しなければ国籍を失う規定も設けた。

 先月、ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎米シカゴ大名誉教授が米国籍を取得し日本国籍を喪失していたことを受け、PTでは「正直者と有名人がバカを見る制度だ」(河野氏)として二重国籍容認への動きが加速した。

河野太郎議員 座長私案
http://www.taro.org/blog/index.php/archives/945

重国籍に関する座長私案

日本国籍を持つ者が他の国籍をあわせて保持することを認める。
日本国籍以外の国籍を持つ者は、本籍地でその旨の申告をしなければならない。これを怠った者は、罰金刑および日本国籍を失うこともある。
父母の国籍が違うことにより、二重国籍となる者は両方の国籍を保持することができる。
日本国籍を持つ者は、生地主義で得た国籍も保持することができる。
日本国籍を持つ者が、重国籍を認める他の国の国籍を取得した場合、日本国籍を保持し続けることができる。ただし、日本が承認している国に限る。
重国籍を認める国の国籍を持つ者は、要件を満たせば日本国籍を取得することができる。この場合、元の国籍を失わない。ただし、日本が承認している国に限る。但し、日本国籍の取得に関しては、毎年の国別の割当数を設ける。
皇族、国会議員、大臣、外交官、自衛隊の士官、判事は日本以外の国籍を保持することはできない。
日本国籍を持つ者が、外国の王族の一員になったとき、または、大統領、国会議員、閣僚、外交官、軍隊の士官、判事の職に就いたときは、日本国籍を喪失する。
日本国外で生まれ、血統により得た日本国籍を含む複数の国籍を持つ者が、二十二歳になるまでに通算して一年間(365日)、日本国内に居住していない場合は、日本国籍を喪失する。
ある国が日本を侵略することを企てることにより日本と交戦状態になった場合、日本の国家および地方公務員は、その国の国籍を保持することはできない。
日本国籍を含む複数の国籍を持つ者が、志願して他国の軍隊に入隊した場合、日本国籍を失う。
日本国籍を持たない母親の子供を認知する場合、DNA鑑定を必要とする。


自民党議員から重国籍の容認に関する質疑(自民党議員としては初)

平成20年11月27日、参議院法務委員会にて、国籍法改正における審議中、自民党の丸山和也議員から、重国籍の容認に関して突っ込んだ話しが出た。また、丸山議員は今回の参考人(遠山弁護士、奥田教授)に二重国籍をどう思うかと質問され、

日弁連の遠山弁護士は今回の改正が第一楽章であれば、二重国籍は第二楽章だと思う。これからは二重国籍を忌む風潮もゆるんでいくだろう、との見解を示された。

奥田教授は、仮装二重国籍者が問題である、この問題を解決すべきであるという点を指摘されたが、一般的な二重国籍の問題についてはコメントを控えたいとの事だった。

奥田教授は二重国籍については、あくまで中立的な立場でいたいという印象を受けた。遠山弁護士の方が寛容な見解でいた。

他に二重国籍について質疑に織り込んだ議員は、民主党の白議員、松野議員。しかし、今回突っ込んだ質疑をしたのは、自民党の丸山議員だった。

そのやりとりの概略を紹介する。

丸山:この法案に関連して二重国籍問題が出てくる
   二重国籍者を増やす事になる
   重国籍に関する考え方をきちっとしなくてはならない。

森大臣:日本では国籍唯一。個人的には国籍唯一で問題ないと思う。国籍選択制度も
    現状においてさしたる問題はない。

丸山:法務大臣の催告は行われているのか

民事局長:していない

丸山:現状、国籍選択をしない重国籍者が沢山いる。どうするのか。

民事局長:大変難しいものがある、自民党法務部会でも検討している。
     国民的議論を見守りたい。
     誰が重国籍か把握できない、たまたま見つけた者をだけ催告をしていいのか
     という問題がある。本人の自発的な選択を求める。

丸山:重国籍を認めて下さいという請願も来る。向こうの国では重国籍を認めるが、
   日本では認めない。色々と問題が起きている。ノーベル賞の受賞での話題も
   あった。
   フレキシビリティがあってもいいのではないか。よき伝統的文化を守りながら
   開かれた日本を作りたい。政府も検討を重ねてもらいたい。


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