ビザ、国籍、雑感

Ken Asami(メキシコ在住)

重ビザ

 三カ国の国境が交わる地域なら三重ビザ、四カ国の国境が交わる地域なら四重ビザなどなど、国境地域に住む人は複数のビザを維持しやすい環境にいます。国境地域に住む人にとって複数のビザを持つことは非常に重要なことであり、逆にビザがなければ不自由な思いをします。したがって国境地帯(または隣国)に住む人たちだけに対して特別な移民政策をとっているところも多くあります。

 アメリカとカナダに永住権をもっている日本人がいますが、アメリカ側の移民局の人にグリーンカードとメープルリーフカードを持っているのをみつけられ、アメリカに住む意思があるのかしつこくとわれ、グリーンカード取り上げるよとおどされた日本人がいます。911テロ後一段と入国管理が厳しくなったアメリカ、いっそのことアメリカ側の永住権を帰化でアメリカ国籍にしてしまおうと考えているそうです。そうするとその人の身分は、アメリカでは、帰化アメリカ人ですが、カナダでは、永住権保持者ということになります。

 例えば、二カ国からビザをもらっている場合、どちらの国に在留届を出せばいいのでしょうか、どちらの国でパスポートを更新すればいいのでしょうか。両国に住所(住居)、電話番号がある人はたくさんいます。職場と住居が異なる国にある場合もたくさんあります。

 ちょっとアメリカに買い物にいってくる、ちょっとカナダにのみに行こうか、などなど気軽に国境を越えるのが当たり前になっています。それだけではなく、アメリカとカナダに住所を持ち、アメリカとカナダに銀行口座を持っている人もたくさんいます。

 メキシコとアメリカも同じことです。メキシコとアメリカに住所を持ち、メキシコとアメリカに銀行口座を持っている人もたくさんいます。メキシコとアメリカに運転免許を持っている人もたくさんいます、なんでも二重なんです。国境に近い地域では、アメリカに住所がなくてもメキシコの身分証明書で銀行口座が開けます。毎月のステートメントは、メキシコに郵送。今までアメリカの北部の州にばかり住んでいたので知りませんでした。

 普通アメリカで銀行口座を開くには州発行の運転免許書又は身分証明書とソーシャルセキュリティー番号が必要です。クレジットヒストリーだってアメリカでいくらローン組んでもクレジットカード持ってても国が変われば一からやり直し、今はメキシコとアメリカ両方でクレジットカードをとりました。ローンも両国で組みました。まだ両国の情報交換がないのでかたいっぽうの国で破産してもやり直しがききます。

 国境に近いアメリカ側にはたくさんの日本人が住んでいて毎朝国境を越えてメキシコ側にある工場に出勤します。この場合、アメリカの労働ビザ(または永住権)とメキシコの労働ビザ(または永住権)の両方を持つ必要があります。(米国側に会計部門その他があり、墨国側に生産部門その他があります)実際に働いているのはメキシコ国内ですが米国の紙の上では米国で働いていることになっています、したがってアメリカの労働ビザも必要です。電話も専用線でアメリカにつながれており、アメリカ側の電話番号をかけるとメキシコのセールスオフィスにある電話がなります。

 それと同時に国境付近に住んでいるメキシコ人は、毎朝国境を越えてアメリカに仕事に行く人がたくさんいます。この場合、アメリカの労働ビザ(または永住権)を持つ必要があります二重国籍の人もたくさんいます。米国側は家賃が高いので生活費を抑えるために住居をメキシコ側にしているようです。最近は黒人のアメリカ人もたくさんメキシコに移り住んできているみたいです。彼らはアメリカ人ですからアメリカで働くのにビザはいりませんが、メキシコに住むためのビザが必要となります。アメリカ人でメキシコに帰化する人が年々増えています。

 テレビもアメリカの英語放送とメキシコのスペイン語放送が楽しめます。ロス・アンジェルスの放送も見られるので日本語の放送も見られます。日本で選挙の時は自民党、民主党、公明党がテレビコマーシャルをしていました。社民党と日本共産党の党首のコメントも放送していましたが、コマーシャルはありませんでした。日本共産党がアメリカの日系テレビ局でコマーシャルを流すのは法的に問題があるかもしれません。

 他に韓国語、中国語、ベトナム語、タガログ語、ユダヤ語、アラビア語その他の放送も見れます。NHK紅白歌合戦がメキシコで映った時は感動しましたね、オレオレサンバとかいうのをやっていました。90年代はアメリカの田舎で日本人とはかかわらずに生活していましたからそのころ何が日本で起こったのかわかりませんし、テレビもほとんど見なかったので細かい出来事はよくわかりません。そのかわりアメリカ生活をエンジョイできました。私の日本の記憶は80年代でストップしています。リクルート事件、売上税反対で日本社会党が選挙圧勝し土井社会党委員長が「山が動いた」といっていたころです。

パスポートの国際化、ヨーロッパ、南米、中米

 ヨーロッパではヨーロッパ連合加盟国がパスポートデザインを共通にしました。開いた最初のページにはどの加盟国にも同じことが書いてあります。そして表紙には、その国の言葉で「ヨーロッパ連合」とその国の国名とともに書いてあります。それだけでブランド力アップです。

 私の知っているかぎりでは南米や、中米にもにたようなものがあります。南米の国にはパスポートの表紙に国名とともに「Merco Sur」(南米市場)と書いているものもあります。中米各国は昔、中央アメリカ連邦共和国というひとつの国でした(Provincias Unidas de America Central, Republica Federal de Centroamerica、Centro America、United States of Central America)。その後分裂によって今のように複数の国になっていますが、パスポートに国名と「中央アメリカ」を併記する国がたくさんあります。車のナンバープレートも各国の国名の後に「中央アメリカ」とつけている国が多いです。

 国境地域はバイリンガルが多いです、そして国際結婚が多いと思います。その子供たちは二重国籍になり、その数が増えていく一方です。国境というのは昔は重要な役割を果しましたが、国境の両側に親族がいるとまるで関所であって、邪魔な存在です。時間はかかっても、だんだん国境は意味のないものにかわっていくでしょう。

余談

 自由民主党には、党員と党友があります。どちらとも自由民主党の総裁公選規程に基づき総裁選挙に参加する権利を持っています。党員は、党の構成員なので義務が発生します。党友は、あくまでも自民党の打ち出す政策に賛同していただける外部の方となります。構成員ではないので義務は発生しません。

 なにか国籍と永住権の違いを思い起こさせます。

 国歌を習うのはこれで四回目、日本で君が代、アメリカの高校のフランス語のクラスでフランスの国歌、アメリカの大学で卒業式のために練習したアメリカ国歌、そして今メキシコ国歌。


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