春名小委員 日本共産党の春名直章ですが、二点発言させてもらいます。
 外国人の人権を考える場合には、やはり日本で考えているわけですから、日本の特殊性や歴史、これを抜きには語れない。
 先ほども発言したんですけれども、今、日本に住む外国人の方は百六十八万人を超えていますけれども、そのうちの約三八%が韓国そして朝鮮籍の方で、約六十四万人を占めております。要するに、その大部分が、一九一〇年の韓国併合以来の日本による植民地支配、そのもとで強制連行などによって日本に無理やり連れてこられた方、またその子孫。そして、韓国併合で、朝鮮の人たちは、自分の意思に全く関係なく、帝国臣民といいますか、日本人にされる、そして、侵略戦争に駆り出されるという点になってきました。同じく、台湾の住民の方々も、日清戦争の結果、一八九五年の五月に、日清講和条約によって日本国籍を押しつけられました。
 それで、日本が敗戦しました。講和条約が発効したのは一九五二年です。再び、本人の意思と関係なく日本国籍を喪失させられました。外国人の地位に置かれることになりました。日本の都合によって勝手に日本人にされ、勝手にまた外国人にされる、こういう歴史を通りました。
 戦後の憲法制定時なんですが、日本政府は、一貫して外国人の文言の削除にこだわって、外国人の平等保護を憲法条文から削除しようとされました。
 一九四六年二月十三日の総司令部の案によりますと、憲法十三条、すべての自然人は法の前に平等である。人種、信条、性別、社会的身分、カーストまたは出身国により、政治的関係、経済的関係または社会的関係において差別がなされることを授権しまたは容認してはならない。それから、十六条、外国人は法の平等な保護を受けるという条文が最初あったわけです。
 ところが、政府とのやりとりの結果、政府の三月五日案では、第十三条で、すべての自然人はその日本国民たると否とを問わず法律のもとに平等にして、人種、信条、性別、社会上の身分もしくは門閥または国籍により政治上、経済上、または社会上の関係において差別せらるることなし、こういうふうに一応なりました。しかし、これでもなお不満だということで、政府は、今述べた条文から、日本国民たると否とを問わずという条文と国籍という文言を削除しました。
 こうした姿勢、一貫して外国人に対する排外的な考え方というのがあったわけですね。それが今日まで指紋押捺制度が続くということになってあらわれましたし、それから、先ほど私申しましたように、国籍要件を課して、外国人の当然の権利、人権を排除するということも長い間続いてきたわけですから、やはりここを、この政治のあり方を正していくということ抜きに外国人の人権の保障ということはあり得ないと思いますし、これは不可欠の問題だというのが第一点です。
 二つ目は、到達点と課題についてなんですけれども、先ほどのお話と少し角度は違うんですけれども、外国人の人権を考えるときには、消極説というのがあって、もう一つ、積極説というのがあって、消極説というのは、憲法三章の権利と義務というのは国民にのみ権利として認められていて、外国人にはそもそもないんだというのが消極説で最初はあったわけですね。ところが、積極説というのは、人権というのは前国家的性格だ、さっきお話が出ましたけれども、自然権的な性格なんだから、あるいは、日本国憲法は国際協調主義をとっているから、外国人の人権享有主体を肯定しているという積極説があったわけで、こういう議論の中で、一九六六年に国連総会で国際人権規約が採択されて、今、外国人を含むすべての個人に対して平等に人権を保障しよう、こういう方向に進んできているわけですね。
 もう時間がなくなりましたので。そういう到達点の上で二十一世紀を展望することが大切になっていると私は思います。
 その点で、永住外国人への地方参政権の問題とか国籍条項の撤廃とか、こういう課題は一刻も早く、二十一世紀の日本が進むべき道として進めていかなきゃいけないという課題になっているということを申し上げておきたいと思います。
 以上です


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